

在学生×修了生×教授の
スペシャル座談会
総合学術研究科で
養える力とは

SPEAKER
教員
田中義人 教授

SPEAKER
在学生
内田美重さん

SPEAKER
修了生
澤田和宏さん
名城大学 総合学術研究科に進学した動機を教えてください。
内田:大学院に入る以前は東京で働いていましたが、夫の転勤に合わせて仕事を辞め、愛知に引っ越してきました。新しい土地で何をしようか考えたときに、学生時代にフードビジネス学科で食品や経済について学んだ延長で、もう少し学びを深めてみたいと思いました。大学院をいろいろ調べたところ、本研究科の景山教授の研究に興味をもち、社会人コースがあって学びやすい環境だったこともあり、入学を決意しました。
澤田:私は名城大学理工学部の出身です。子どもの頃から生態系や環境に興味があり、卒業論文では植物生理学分野の研究で田中教授にお世話になりました。論文作成が終わっても知りたいと思うことは尽きず、大学卒業後も引き続き田中教授のもとで学びたいと思いました。
田中教授:本研究科は学部を基礎としない独立研究科のため、学部生の卒業論文を指導することは稀ですが、澤田くんとはたまたまご縁がありました。学部から進学してくる学生だけでなく、内田さんのような社会人入学者が多いのは本研究科の特徴です。



それぞれどういった研究に取り組まれていますか?

澤田:修士論文のテーマは、「藻類およびシアノバクテリアの環境ストレス応答に関する研究」です。藻類は塩濃度が高くなると、ストレスで脂質を溜めることがわかっています。この脂質はバイオ燃料として使うことができ、枯渇性資源の代替として注目されています。そこで私たちの研究室では、どれくらいの塩濃度であれば生育と脂質の蓄積の効率が良いのかを研究しました。
内田:私は、清らかな淡水に生息する希少な藻「スイゼンジノリ」に含まれる紫外線吸収物質の生合成プロセスに関する研究をしています。この紫外線吸収物質は、天然のスキンケア成分として化粧品への応用が見込まれていて、光や温度など、どのような条件下でより多く生成されるのかを調べています。「スイゼンジノリ」は「シアノバクテリア」の一種ですので、澤田さんの研究と似ているところがありますね。
田中教授:澤田くんの研究は脂質に注目していますが、私の研究はそれ以外にも微生物が環境ストレスにどのように適応しているのかを遺伝子レベルで解析しています。最近では、海の環境修復や水産資源調査に取り組まれている特任教授の先生方に感化され、水中に存在する環境DNAの遺伝子解析にも着手しています。
総合学術研究科で学ぶ魅力はどんなところにありますか?

田中教授:研究科の名前として「総合」と掲げているように、文理の枠にとらわれないさまざまな分野の先生、学際的な研究が集まっているところが魅力的だと思います。また、本研究科は、指導教員のほかに副指導教員を2名配置する手厚い指導体制をとっています。修士論文の作成過程では、春と秋に教員全員が集まって院生の研究発表を聞くプログラムもあり、文理を融合した総合的な知見を得ることができます。
澤田:院に進学したら、研究分野に特化して専門性を深めていくことをイメージしていましたが、実際は専門分以外の講義も多く、学部生の頃よりも学びの範囲が広がりました。自分の専門以外に語学や心理学、健康科学、スポーツ科学、薬学など、広い知識・視点を得ることができ、あらためて学ぶことの面白さを感じました。
内田:先生方とのディスカッションが楽しいですね。例えば、「総合学術特論」という講義では、最後に自分で選んだテーマについて発表をするのですが、さまざまな分野の先生方から想定外の質問をいただくので、ディスカッションをしながら学びを深めることができます。
田中教授:「総合学術特論」では、各先生がオムニバスで講義を担当して話題を提供し、院生がそこから自分の興味あるテーマを定めて発表をします。質疑応答では、専門分野の異なる先生方から思いがけない質問が飛び出すことも多く、私たち教員も新たな気づきを得られます。
今後、取り組んでいきたいことを教えてください。

内田:前期は集中して授業をとったので、後期からは修士論文の研究に専念したいです。「スイセンジノリ」を純粋培養する試みをはじめていますが、すごく難しいんです。ただ、本研究科は研究環境が整っていますので、これからは研究を着実に進めて、何か新しい発見ができればとワクワクしています。
澤田:私は本研究科を卒業後、本学の職員として働いています。最初に配属された学術研究支援センターは、先生たちの研究活動の支援が主な業務で、自分が研究してきた経験を大いに生かすことができました。
今年度からは学務センターで働いていますが、今度は学生の支援に従事し、母校の力になりたいと思っています。
田中教授:新しい学問領域、新しい研究課題に果敢にチャレンジし、私たちの研究が社会にインパクトを与えられるものになればと思います。教員としては、院生が専門分野の力量を上げるサポートをするのはもちろん、広い視野を獲得できるよう、学びの場を提供していきます。
